あついあついあついあついあつい・・・・・・・
しかもだるい。きつい。ねむい。


「文句を言うなら何処かに行け、邪魔だ」


・・・・・・・・・・・・・・あつい。


「聞いているのか、姫」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・へ?」


私だったの?って顔をしたら元就にかわいそうな子を見るような目で見られた。
・・・・・仕方ないじゃん。気付かなかったものは。


「姫、本来はこの仕事はお主の仕事だぞ」
「・・・・・・ぁぁ・・・・うん」
「しかしお主が駄々をこねるから、我がやっておる」
「・・・・・・そうだねー」
「その我の邪魔をするなら、自分でやれ」
「・・・・・面倒」
「なら邪魔をするな」
「・・・・・・・・・はい」


これじゃどちらが主人が分からぬぞ、と言われた。
・・・確かに、と思った私はもう駄目なんでしょーか。

ちりん、と風鈴が鳴った。


「・・・かぜ、でてきた」


畳の上に仰向けで寝転がり、空を見る私。
机に向かい筆を執る元就。
不真面目な主人。
真面目な家臣。


「・・・・・・・アンバランスー・・・・・・」


ふふ、と笑えば怪訝そうな顔でこっちを見た元就。
喋っても机から目を逸らさなかった彼が今、私を見ている。
彼の瞳には私しか映ってないと思うと、何故だか嬉しく思う。


「・・・・・・どしたの?」
「何と、申した」


突然の質問に目を丸くした。
・・・・・・・・・ああ。


「アンバランス、って言った」
「あん、、、、、ばらん、す?」


あ、可愛い。
聞きなれない言葉に首をかしげ、真剣に悩んでいる。
あんば、らんす・・・・あんばら、ん、す・・・・?と呟く。


「アンバランスはね・・・そーだなぁ・・・・『均衡がとれない』って意味・・・かな?」
「均衡が・・・とれない?」


英語は得意じゃないから適当だけどね〜、と私が笑えば、「英語・・・?」とまた首をかしげた。
・・・あ。英語って言わないのか、こっちじゃ。


「異国語のコト」
「ほお・・・・姫は異国語が分かるのか。凄いな、姫は」
「や、少しだけよ?異国の人とは絶対話せないからね?」
「しかし少しでも分かれば凄いだろう。我は分からぬからな」
「凄くない凄くない」


元就に背を向けて寝転がり直す。
・・・正直、元就のこういう反応に慣れない。
むしろ『褒められる』ことに慣れない。


「姫?どうした」
「何でもなーいー。さっさと終わらせろー」


手で行動を促す。
でも元就は動かない。こっちを向いたまま。
あーもー!気付くなよ〜〜〜〜!!


「もしや姫・・・・・」
「だーーーーっ!いいから終わらせろ!」


がばりと音がしそうなぐらいの勢いで起き上がり、元就を睨む。
彼は一瞬驚いた顔をしたが、次には意地悪い顔になる。
くそう・・・・・・・しくじった!
今の私の顔はりんごみたいに真っ赤なんだろう。


「照れ屋な姫の為だ、早く終わらせて差し上げようか」
「〜〜〜〜〜〜っ!!」



暫くは元就の玩具になりそうだ・・・・・・・うう、サイアク。


2006.08.30 刹霞

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