「・・・あのやろぉ・・・」
狙って落としやがったな、戦場に。
「・・・鉄臭・・・」
地面は黒く淀み、水溜りにはまってるみたいに歩きにくい。
そして、草むらからぼろぼろになった旗だけが己を主張している。
「貴様!何者だっ!!」
「・・・・・・・さぁ?何者でしょーねー。」
雑兵に名乗る名前なんぞ持ち合わせてまセン。
「その衣装・・・伴天連の者か!?」
「そう思いたきゃ思えば?」
私の格好。ゆきなら『はれんちな!!!』って叫んでくれそうな短いスカート。動けばたぶん下着見えんじゃない?つーか階段上ってたら一発で見える長さ。あいにく膝丈のスパッツをはいてるので見えないけど。
そんでもって上はセーラー服。漫画で出てきそうな感じ。でも古いとは思わないデザイン。白と空色。襟には銀糸で刺繍が施されてる。
靴は・・・サンダル?バレリーナシューズ?って感じ。どんなだとか突っ込まないで。私もよくわかんないんだから。踵は高くない。高いと転ぶから。でもそれなりにはある。コンクリを歩くとカツカツ音がする。
それ以外にシルバーアクセで飾っておりますw
で、武器はと言うと・・・鞭。半兵衛の関節剣似てると言えば似ている。
私、SMの趣味無いんだけど?と思わず突っ込んだ。
でもすごく手に馴染む。
それと、ご丁寧に身体能力も上がってるみたいで。
「ふざけた輩め!みな、かかれっっ!!」
「わぁ。沸点の低い人は嫌われるよ?ま、いいけどね。
我が前に平伏せろ、下賤の者」
ひゅん、と鞭がしなる。
まるで半兵衛固定技である「華のように」と同じような動きをして、敵を弾き飛ばす。
「ひ、ひぃぃ・・・!!」
基本的に殺傷能力は無いので、後は精神的に追い詰めるのみ。
「・・・これ以上、我が手によって辱められたいのか?ふふ・・・
消えろ。それで命は許してやる。」
劇部の人間を感動させたぐらいの演技力をフルに活用。
口元には笑みを、でも目は相手を突き刺すぐらい鋭く睨む。
ぎゃー、だの鬼だー、などとわめきながら雑兵らは逃げていく。
それでも男か?つか兵かよ、という言葉はこの際胸にしまっておく。
「鬼はチカちゃんだってーの」
鬼の異名は貰う気はさらさらない。
「むしろ飼うし。鬼も若虎も龍もお猿も、ね」
えっへっへ。
おおっと、思考回路が腐女子になってしまったぜ。
「・・・うん?」
どどどどど、と地鳴り。・・・否、馬の蹄の音か。
後ろから聞こえるので振り向いて・・・ぶはっ、と噴出す。
「お、お館様だぁ・・・ゆきも居るヨ」
そう、チカちゃんでプレイした時に見たあの光景。
ローアングルで馬の足が映され、馬3頭だからお館様とゆきと佐助だと思ったら、お館様が1人で2頭使ってた!!しかもゆきはまともに馬に乗ってないし!!と大笑いしたあれである。
「ナマで見れるなんて・・・!!」
普通に感激である。
でも佐助が居ないのは寂しい。いやいや、これはこれでおいしい。
「そなたがわしの兵を破った伴天連の者か?」
「伴天連じゃないけど・・・まぁ、兵を破ったって言うのなら私だね」
厳しい顔をしている信玄公。涼しい顔の私。
まぁ、内心はきゃーきゃー言ってますが。何か問題でも?
「その手腕あっぱれ。・・・何処の手の者じゃ」
「どこでもありませーん。
言うなれば自分のよく、あ、違う。自分の信念にのみ動く者ですw」
未だ厳しい顔の信玄公。まんべんの笑みの私。
思わず欲望、とか言おうとしちゃったのは愛嬌ってことで。
ふむ、と悩みこむ信玄公。その姿を見つめるゆっき、いや幸村。
・・・可愛いなぁ・・・
「何処の者でも無いのなら、わしの家臣にならぬか?」
「ぇ「何をおっしゃりますかお館様!」
・・・割り込んだね、幸村クン?・・・ま、間抜け声だったからいいけど。
てかホントに何考えてるの、お館様?
「なんじゃ幸村。わしの考えに意見するか?」
「恐れながら言わせて頂きまする。
この女、奇妙な格好にございますし、本当に何処の手の者でもないと言う確証はございませぬ。
・・・知らぬ者を懐に入れるのは危険だと存じます。」
・・・・・・・・・・・・え、何このゆき。すっごい真面目なこと言ってる。
どどどど、どうしよう!?普通にときめいたよ!?
いやいや、ときめいてる場合じゃないのは分かってるけど・・・!
って・・・後ろに誰か居る?
すっ、と目を細める。
その様子に瞬時に気付いた幸村は信玄公の前に躍り出て、槍を構える。
「・・・血の気が多いな、・・・真田幸村?
そんなに・・・先に逝きたいか?」
「ぬ、お主やはり・・・!!」
右手に持つ鞭をぎゅ、と握り締める。やっぱり本物の兵の殺気は雑兵とは違う。
嫌な汗が背中をつたう。
「真田源次朗幸村、いざ参るっ!!」
「お相手いたしましょう。」
地を蹴り近づき槍を突き出す。・・・この動きは・・・「烈火」か・・・?
バックステップでそれをかわし、鞭を薙ぐ。
それは簡単にかわされる。・・・そりゃそうだ。
似たような感じで、のらりくらりと幸村の攻撃をやり過ごす。
「お主やる気はあるのか!?」
「ん〜・・・真面目にやると疲れそうだし・・・」
ぶっちゃけ別に幸村を倒したい訳じゃない。てか、ゆきの身体に傷なんてつけれませんわ!!
狙いは・・・別。
私の後方、幸村やお館様の前方に誰かの気配。たぶん忍じゃないかなぁ、と。
で、味方っぽくないから、隙を突いてお館様か幸村を暗殺しようとしてるんじゃないかな、って。
「むしろ真田幸村?貴方も本気じゃないでしょう?」
「!?」
「なんと!」
・・・いやなんでお館様まで驚くの。
「・・・・・・俺が本気を出せば・・・お主も本気になるか?」
「さぁ?でもやってみる価値はあるんじゃない?
それとも・・・こんな得体の知れない女を怖がってるのか?」
「・・・ッ!!」
かっ、と目を見開いた幸村の顔は・・・鬼そのもの。『紅蓮の鬼』光臨、ってね。
ぞくぞく、と鳥肌が立つ。そして私に向かってくる。
そして彼が私に切りかかった瞬間、
「覚悟っっ!!!!」
ようやく動いたね、忍サン?
サイドステップで辛うじて攻撃をかわし、鞭を振るう。狙いは・・・忍。
意のままに動く鞭は飛び上がった忍の足に絡みつき、地面へと叩き落とす。そして鞭を引っ張れば忍も自然とくっついてくる。
「わぁいw忍が釣れたぁ〜w」
きゃぁwと場違いに喜んでみる。
私以外の全員が絶句している。・・・面白いなぁ。
「んー・・・甲斐の虎・武田信玄?・・・これ、どうします?
貴方を狙ったみたいですけど。」
「ん、ああ。そうじゃな・・・・・こちらで引き取ろう。」
「了解。じゃ、少し寝てね?・・・おやすみ」
お館様にお伺いをたてる。ちょっと焦りながらも返事を返してくれた。
・・・お館様いいなぁ。あんなお父さんほしいよ。
そんなことを考えながら、鞭をふるい忍を失神させる。にっこり微笑みながら。・・・相手の最後の顔は真っ青だった。
「よしっと。はい、これでしばらく起きないと思いますよ〜。」
ぺい、と忍をお館様の近くに投げる。もちろん鞭を使ってねw
「ふ、」
「ふ?」
ふはは、わっはっはっは!!と豪快に笑い出すお館様。え、壊れた?
「お主、幸村を使って忍をおびき出したか!!」
「え、ええ、まぁ。そうなりますかねぇ?」
「・・・某は、」
「うん?」
あ、ゆき忘れてた。
斜め後ろでふるふる震えながら声を絞り出す彼。え、普通に可愛いよ。
「某は感服したでござるぅぅぅうう!!!」
「うぉわ!?」
「おやかさすぁむぁぁああ!!
某、この者と一緒に戦いたいでござる!!!」
「うむ!よく言った幸村!」
「お館様ぁぁああ!!」
「幸村っ!!」
・・・・えーっと、2人は殴りあい始めました。
ナマで見れるのは嬉しいけど・・・なんか蚊帳の外でつまんない。
「あーあ。始まっちゃった。」
「・・・わお。」
や、と手をあげる迷彩服(違)
・・・・来たっ!!きたきたきたぁぁああ!!って、なんか変なのになった。
「ごめんね〜?あれ始まっちゃうと暫く止まらないんだよねぇ
あ、俺様は猿飛佐助。仲良くしてね〜?」
「佐助ぇええ!!お主だけずるいぞ!
某は真田源次郎幸村!見知りおきの程を!」
「わしは甲斐の虎、武田信玄じゃ。
・・・さて娘。お主には命を助けられた。わしはお主に恩を報いねばならん。」
・・・ん?なんだかいつの間にか家臣にされてない?気のせいか。
恩に報いるかぁ・・・、あ。なら・・・。
「ではお願いがございます。」
「ほう、言ってみよ」
「貴方様の娘にしてくださいませw」
にっこり微笑む。
「・・・・へ、娘?」
「む、むむむ、むす、むすめぇ?」
「・・・・・・・・・・娘、とな?」
「はい、娘です。
・・・今この地で、私は天涯孤独の身ゆえ・・・
だめ、でしょうか?」
寂しそうな顔をしながら、首を傾げる。
その姿にう、とその場の全員が固まる。見たか、劇部をも呻らせる演技を!!
・・・と言うか実際この地で天涯孤独なのは嘘ではない。
武田信玄という後ろ盾が出来れば怖いものは無くなる。結構好きに何でも出来ると思う。・・・やることはやるけど。
ふむ、と悩んでいたお館様。割とすぐに顔を上げ、私を見る。
「娘、名はなんと言う?」
「と」
「、か。良い名じゃ。さぁ、帰ろうぞ、。わしらの城に。」
「・・・!!はいっ!」
お館様・・・じゃなくて父上が私にてを差し伸べる。それの手をとり、馬に乗せられる。
横からにゅ、と馬に乗ったゆっきーと佐助。…いつの間に乗ったんだ?佐助サンよ。
「今日は宴会でござるな!」
「うむ。」
「姫はお酒飲める〜?」
「どうだろ?・・・飲めるかな?」
「殿は甘いものは好きでござるか?」
「え、なんか話とんでない?
まぁ好きだよ?大好き。こしあんのお団子とか」
「!!みたらしでござるよ!」
「あ。みたらしもおいしいよねぇ」
「では今日の宴会にそれらもださせよう」
「わwありがとうございます!・・・父上?」
「うむ。」
なんだかんだでどうにかなりそうです。
・・・長ェ・・・
とりあえず、お館様の娘に無事なれたようです。
さて、どうなることやら。
2006.8.9 刹霞
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