姫さんは無茶するんだから、も〜。


輪刀が光り輝いた瞬間に聞こえた言葉。
それと同時に後ろから引っ張られ、現在背中が温かいです。


「・・・・・・・・・・・さすけ?」
「せーかい。姫さん怪我は?」


・・・へいき。
思わずひらがなで返答。・・・いまいち状況が飲み込めない。

首を上に向ければ額当をして、顔にペイントをつけた男の顔。
普段のへらへら顔から一変して忍の顔。いつもこの顔ならいいのに。


「姫さん、助けてもらってそれはないでしょ〜?」
「・・・・・・・・・・そ、ね。

 ごめん、ありがと・・・・・・・・・助かった・・・」


ほう、と息を吐き力を抜いて佐助に寄りかかる。
随分と緊張していたようだ。身体が重い。


「・・・・姫さんは見てなさい。後は俺様が・・・」
「ダメ。これは私がやるの。」


腰に回っていた佐助の手に力がこもる。・・・ちょっと痛い。
その手をぱしぱし叩いて離せ、と合図する。ついでに頭を佐助の肩口にこすり付ける。猫が愛情表現にやるようにすりすりと。

はぁ、とため息をついて彼は手を離す。


「こーゆーの、上手いよねぇ・・・
 わかった。危なくなったら乱入するからね」
「ありがとwそういう物分りのいい所、大好きよ」


あんまり嬉しくないなぁ。


そう呟いて忍は黒の羽根だけ残して消えた。




「・・・女狐め」



その一部始終(むしろ全部?)を見ていた毛利が吐き捨てるように言う。
・・・あ。これで誘惑しただの言われたのか。

・・・・・・・・・・・って、納得してどうする!!


「使えるものは何をしても使う。

 その為なら自分だって武器にするわ、それがこの乱世を生き抜く術でしょ?」
「・・・・・・・・・」


無言は肯定ととるわよ私は。


「・・・ねぇ、私に降伏しない?悪いようにはしないから」
「女狐に飼われる趣味は無い」
「即答・・・?ちょっと傷ついたよ・・・」


はぁぁ〜〜〜、とわざとらしくため息を吐く。
ふん、と鼻を鳴らす毛利。・・・・あ、ちょっとむかついた。


「じゃ、気を取り直して・・・
 お覚悟を」
「ふん、女狐などにやられはせぬ。
 日輪よ、照覧あれ!」


赤と緑の閃光が走る。



++++++++



あの姫のことは聞いたか?
無論。数十万の兵をたった一人で撃破なさったとか。
やはりお館様の目に狂いはなかったのだな!

わはは。
あっはっは。


・・・・・・・・どいつもこいつも都合がいいよな・・・・・・・


はん、と毒を吐く。
毛利との戦が終わってから、配下の目が変わった。
何処の世界もこんなんか・・・・は〜ぁ。


「眉間にしわ〜、まーた悩み事?」
「・・・・・・・佐助」


どっから湧いて出てきたの。驚くでしょ。
・・・全然驚いて無いでしょー?
一応驚いた。顔に出なかっただけで。


「別に悩み事じゃないわよ。ただ・・・うーん、まぁいいや」
「何それ?いいならいいけど…無理しないでね?」
「やけに私に気を使うわね、最近。父上に何か言われた?」
「・・・それって俺様が命令で姫の様子を探るように、とでも言われてると?」


「その言い方じゃ・・・一応は違うみたいね。
 ごめん、今ちょっと人間不信」
「・・・まぁ、無理もないか・・・」
「ごめんね?」


平気よ、俺様は。


そう言って私の手に持っていたものを奪う。
持っていたのは水の入った手桶、手拭、水の入った湯呑。
もちろん盆に乗せていました。


「毛利の旦那のところ?」
「うん、そう。ありがと」
「まだ起きないんだ〜」
「そーなのよぅ、やりすぎちゃったのかなぁ・・・」


一騎打ちの結果は私の勝利。
で、気絶させただけなので屋敷につれて帰ってきた。



++++++++



「・・・・・・・・」
「あ、起きてる!」
「ホントだ〜、毛利の旦那、気分はどう?」
「・・・・・・・・・・・・・・・なぜ、」


寝起きの所為か、毛利の動きは鈍い。
なぜ、と首を少し傾げた姿なんか襲いたいぐらいに可愛い。
・・・まぁ、眉間にしわが寄っててちょっと近寄り辛い雰囲気ではあるが。


「一騎打ちの結果はウチの姫の勝ち。だから姫の命令で甲斐まで連れてきた訳よ」
「そうそう、毛利様は私のモノなの。わかる?」


勝者の言うことは絶対。何処の世界でも一緒でしょう、きっと。


「残念だったね〜、もう少しで私を殺せそうだったのに」


実際、本当に殺されるかと思った。
毛利の怪我より、私の怪我のほうが酷かった。
なんと言っても相手は刃物。服はずたずたで血みどろすぷらったー。
・・・正直、マジで辛かった・・・。


「・・・我をどうする気だ」
「うん?どうして欲しい?」


にこにこ。
・・・・・・・・。


「姫、姫。それじゃ、埒が明かない」
「えー?でも相手の意思を尊重したいしぃ〜」


可愛子ぶらないの!
えぇ!?元から可愛いし!


「・・・と、冗談はさておき。

 私的には私の部下になって欲しいのよね。信玄公のではなく、私の。
 でも貴方は私の部下になるのは嫌だと言う。だから、どうしたいのかしら?
 逃げたいのなら逃げてもいいし」
「・・・・・・自らの命を危険にさらすか」
「別に私が死んでもさして何も変わらないわ」


この言葉に、毛利だけでなく佐助も止まった。

でも現実、私が死んでも何も変わらず歴史は進んでいく。
元から私は存在しなかったのだから、元の歴史に戻るだけ。
・・・・・・・あの猫かぶりの神様が嘲笑うだけだろうし。


「でも、貴方たちが死ぬのは許されない。誰が許しても、私が許さない。
 だから、貴方には死ぬ以外の選択肢をあげるわ」


さぁ、どうする?




++++++++


佐助が出張ってるのは、あいつが一番動かしやすい。
・・・・大好きってのもあるが(笑)
さぁ、毛利はどうなるのでしょ?


2006.8.28 刹霞

戻る