姫は中国の毛利を捕虜にしたそうだ。
中国の?しかしあやつが我が軍に下るとは思えんが。
いやいや、あの姫だ。きっとやってくれるだろう。
それに我らには真田殿やお館様もいらっしゃる。どうにでもなろう!
ふははは
あっはっは
くくっ
「聞こえてるっつーの」
性懲りも無く陰口をたたく配下たち。
父上、見る目無い・・・。
毛利元就と話をしてから三日が過ぎた。
下町の様子見やら、書類整理やらで忙しくて行く暇が出来なかったのだ。
(むしろ今まで溜めていた付けが回ってきた)
毛利に付けた召使によれば、食事もきちんととり、怪我の手当てもちゃんと受けているとのこと。
それより私のほうが医者にかからないので怒られた。でも行ってない。
「姫っ!」
「ん?あら、幸村。どうしたの?」
庭のほうから猛ダッシュでやってきたのは幸村。
稽古でもしてたのか、額には汗が輝いている。
「姫、ひめーっ!!」
「聞こえてるっちゅーの!」
「ふおわっ!?」
用件を言わず、ただ突進してくる幸村に鞭を一閃。
変な声を上げつつも、避ける幸村。や、避けてくれないと困るけど。
「・・・で、何用?」
「一緒に稽古をしましょう!?」
「却下」
どうして!?と悲しんでる彼。
正直幸村とやりあうといつまでも終わらないので疲れる。
それに私はこれ以上強くなる気は無い。人を殺すつもりも無い。
なのに別の武器を薦めてくるのだ、こいつは。
「姫は筋がいいんですよ!ですから・・・」
「人を殺す気は無い、って言ってるでしょ?
私はこのままでいいの。これ以上頑張りたくない、疲れるの嫌い」
「随分と身勝手な話だな」
突然後ろから声がかかった。
「強くなりたくともなれない輩はごまんと居るだろうに」
「私の信念なの。誰が何と言おうがこれだけは譲れない」
睨み合う。幸村はおろおろしている。それでも紅蓮の鬼か?
こんな時に佐助が出てくればいいのに・・・。
「お主、何の為に我を生かした?」
「だから、前回言った通りよ。あんた達は死んじゃいけないの。
つーかむしろ、私があんたを生かしたいから生かした。それだけ。」
「ではお主は我やそやつを生かすためなら命を落とせると?」
「それは違う」
すぅ、と毛利の切れ目が光を帯びる。
私が即答した事に興味引かれたようだ。
「私は自分が一番大切なの。だからあんたを助けることで私が死ぬことになるなら私はきっと助けない。だって自分が一番だもの。
でも、自分が犠牲にならないであんたを生かせるならなんだってする。この身が汚れても、五体満足であるなら何でもする。」
毛利だけでなく、幸村も難しい顔をしてる。
・・・ごめん、幸村。あんたにまでそんな顔させるつもりじゃなかったの。
でも、止まんない。知ってて欲しいから。
「戦で・・・人を殺さないのは、命が大切だから。でも別に死ぬのが怖いわけじゃない。
人の死を背負うほうがよっぽど怖い。
要は意気地無しなのよ、私。こんな私が戦に参加するのはおかしいって思う。
でも人を殺めない武将が居てもおかしくないでしょ?十人十色なんだし。だから私は私のやりたいようにやる。
犠牲を少しでも減らして、この世界に平和をもたらしたい。
・・・その為なら、この命、かけてもいい」
ざぁぁ、と風が木の葉を揺らす。
時間の止まった二人を笑う。
さぁ、こんな甘い私を怒ればいいよ。でもこの信念を曲げる気は無いけど。
「姫は・・・すごいですね」
「・・・は?」
難しいこと言い過ぎて、意味が分からなくなったか、幸村クン?
そんな私の考えを軽く無視して続ける。
「俺は人を殺すことを怖いと思わない。
殺さなければ、殺される。生かしておくほうが怖いと思う。
しかし姫は殺されてもいいと言う。
やはり・・・姫はお館様の娘だ。俺は姫を守ります、絶対に」
「幸村・・・」
やばい、普通にときめいた。
最初のときも真面目な物言いにときめいたけど・・・それの比じゃない。
「その言葉、我は信じようとも思わんがな」
「・・・・・・信じなくて結構よ」
私の感動に水差しやがって・・・!
しかし、毛利はふ、と笑った。嫌味な顔じゃなくて、すっごく落ち着いた顔で。
「その言葉を、お主以外から聞けばの話だ。そうむくれるな」
「・・・それって・・・」
「お主の口から聞くと、どんな言葉も心地よい。
心の底からそう思っているのだと確信できる。
・・・我の力、お主に貸そう、姫」
「もうり、さま」
また普通に感激してしまった。
呆然と毛利を見つめれば、くすりとまた笑われる。
・・・え、なに?何なの笑顔の出血大サービス!?
「我は姫の家臣だぞ?」
「え、あ・・・・・・えーっと・・・・・好きに呼んでいいの?」
「構わぬ」
「じゃぁ・・・・・・・・元就。気分がいいときは“なり”で」
にっこり笑えば一瞬たじろぐ元就。
そりゃぁ突然“なり”呼ばわりされれば嫌がるわな。
「ちなみに、幸村のことは時々ゆっきー、あるいはゆきと呼んでます」
「佐助のことは猿、と呼んでるでござる」
「うん、猿飛だし。忍ってサルっぽいし」
「それを言うとまた佐助が怒りますぞ?」
今居ないもん。
でもあやつのこと、何処からか聞いてるかもしれませんぞ?
・・・腐っても忍、といった所か。
私より二人のほうがよっぽど酷いと思うのは気のせい?
ま、何はともあれ。
毛利元就が家臣になり、武田の名が世に広く知れ渡る事となった。
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中国政略完了。
お疲れでしたー。
次は何処へ行こうかな?
四国?奥州?・・・あ、趣味がバれる(笑)
2006.8.28 刹霞
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