しゅっ、と空を切る音。それと同時に裾が切れ、血が滲む。
先程からこの調子なのだ。
弁慶は眉をひそめる。


・・・埒が明かない。


敵は怨霊。しかし姿は見えず、攻撃の仕様が無い。
景時も同様で『風』を避けるのに必死だ。
特定の場所から攻撃されているのなら、まだ救い様があるのだが・・・敵もそう馬鹿ではないらしい。





「弁慶!景時っ!」


馬の蹄の音と共に聞き慣れた声が届く。


「九朗・・・っ」
「二人とも、無事かっ!?」
「な、なんとかね〜」
「九朗!気を付けて下さい・・・
 この怨霊は・・・普通の怨霊とは違う」
「姿が見えないんだよ〜。
 ・・・・って、えぇっ!?なんでが居るの!


 ・・・・・・っ、ぅわっ!!」


「「景時っ!!?」」

「!!」




「・・・うっ、く・・・」




二人の元に近付く九朗の後ろからひょっこり現れたに気をとられ、動きを止めた景時に『風』が容赦なく襲い掛かる。
避ける間も無く『風』の攻撃をまともに受けた景時は後ろに吹き飛び、身体を木の幹に強く打ち付けられる。
立ち上がろうとしているようだが、打ち所が悪かったようでぴくり、と辛うじて指が動いただけだった。顔は苦痛で歪んでいる。



「景時・・・・・・っ!?っ、く」

「ちぃっ!!」


景時に気をとられた九朗と弁慶。不意を付き『風』が二人を襲う。
九朗は辛うじて避けたが、弁慶は避けきれず地面に膝をついてしまった。

それを好機と『風』はひゅん、と音を立て弁慶を襲う。

弁慶は後に来る痛みに耐える為、瞳を閉じた。

しかし『風』は弁慶に届く前に音を立て、掻き消えた。








「・・・・・・・・・・!?」




誰かがそう呟いた。













後書きと言う懺悔部屋
ようやくヒロインの本領発揮。
次は見せ場です〜。
姿が見えない敵は卑怯だと思います。



2005/09/28 刹霞



戻る


素材提供:NOION