今、弁慶の前に立っているのは。きっ、と正面を睨み付けている。



「今の、は、・・・が?」



苦痛に顔を歪ませていた景時がうわ言のように呟く。
その問いには答えず、は辺りを警戒し、瞳だけを動かす。
そしてある一点を見つめた時、ひゅんっと『風』がを目掛けて襲い掛かる。
は慌てもせず、おもむろに右手を正面に突き出すと、向かって来ていた『風』が分散し、消滅する。
はある一点を見つめたままにこり、と微笑む。
すると、が見つめている一点がゆらり、と歪む。まるで何かの残像のようだ。
そしてその残像は目掛け牙をむく。




が狙われているのは明確。
しかし、誰一人動ける者はいなかった。




たん、と軽やかな動きで数歩後ろに下がる。その後、空を切る音。
が立っていた地面には三本の爪痕が残る。
そして同じように軽やかに右に跳べばざん、と音と同時に木の葉が舞い散る。
横目でちらりと見、そしてすぐ正面を見据える。ゆらり、とまた歪む。
歪んだモノは再びを正面から攻撃を仕掛けようとゆら、と動き出す。


・・・しかしは動かない。



残像がの目の前、それの攻撃範囲に入った頃、ようやくが動いた。
軽く地面を蹴り真上に飛ぶと、攻撃を仕掛けてきたそれを台の代わりと手を付きさらに高く飛び上がり、くるりと猫のように回転してすたんとそれの後ろに着地する。
そして間を置かずにそれに向き直り、手を突き出す。
突き出した掌にある光の渦を、それに押し付ける。




―グギャァアア・・・ァァ・・・・




それの断末魔が響き渡り、・・・そして静かになった。



男三人は呆然と少女の後姿を見つめている。
視線に気付いたのかはわからないが少女がくるっ、と後ろに向き直りにっこりと微笑んだ。






「もう、だいじょうぶ」












後書きと言う懺悔部屋
臨場感溢れる文章を書くのは好きですが、それが人に伝わっているのか?というのは微妙なところです。
・・・うーむ。上手い文章を書きたい、です。


2005/09/28 刹霞



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