ぴく、と黒龍の肩がはねる。そして視線を庭・・・否、空へと向ける。
それに習うように梶原朔も視線を空に向ける。


「・・・黒龍?どうか、した?」
「来る」
「え?・・・ちょ・・・黒龍!?」


朔の言葉が聞こえていないかのように、黒龍はその場に立ち上がり屋敷の外へと向かう。



「黒龍!」






いつもと様子の違う黒龍に不安を抱きながらも、朔は召使に出かける、と一言声をかけ黒龍の後を追う。








黒龍の向かった先は神泉苑。龍神とかかわりの深い場所。


「黒龍・・・!
 ・・・・その子は、いったい・・・?」


ようやく追いついた朔が見たものは、黒龍とその黒龍に抱かれている子供。


「私達、応龍の化身。・・・・私達が別れてしまった所為で、こんな姿になってしまった・・・」


哀しそうな目をその子供に向ける黒龍。
朔は黒龍に抱かれる子供に触れる。するととても冷たくなっているのにようやく気付く。


「・・・兎に角、屋敷に戻りましょう?この子も暖めないと・・・」
「ああ。すまない、朔」


本当にすまなさそうにする黒龍に、優しく微笑み来た道を早歩きで戻る。








子供・・・少女を暖かい湯に入れ、召使に急ぎ持ってこさせた小さな衣を着せ、布団に寝かす。
その間も少女は眠り続けていた。寝息もたてずに。





「黒龍、兄上。もう入ってもいいですよ」


ああ。返事と同時に襖が開き、黒龍ともう一人男が入ってくる。
その男は朔の兄、梶原景時。源頼朝の腹心である。



「朔。その子が黒龍の連れてきた子かい?」
「ええ、そうです」



布団の横、朔とは逆の位置に景時は座る。黒龍は朔の隣に座る。


「黒龍・・・説明、してもらえるかい?」
「私からも、お願いするわ」


それぞれが黒龍に視線を向ける。黒龍はこくん、と頷く。






「この子は私達・・・応龍の化身。
 世界と世界の人間を守る為の存在」

「・・・応龍とは違うのかい?」






景時の言葉に黒龍は頷く。




「少し、違う。
 応龍は直接守る事は出来ない・・・ただ、見守ることしか出来ない。
 しかし、応龍の化身は違う。
 直接人間を、世界を守る事が出来る。己の力を使って」

「己の、力・・・」

「そう。応龍の化身は五行を自在に操る事が出来る。
 それで、守る。すべてを」




黒龍が話し終わるとその場はしん、と静まり返る。外は雪が降っている。







「兄上」

「・・・なんだい?」



沈黙を破ったのは朔。それを、景時が真面目な声で返す。


「この子を・・・ここに置いても良いですか?」
「・・・・ああ。構わないよ」
「よ、良いのですか?」


朔の少し慌てたような声を景時は少女を見つめながら受け止める。


「駄目、なんて酷い事、言えないよ〜」


可愛い妹の頼みだからね。顔を上げ朔に向かって微笑む。
朔も黒龍もほ、っとした表情を浮べる。







その後少女を見ていたが一向に起きる気配が無かった為、各自部屋に戻っていった。





























後書きと言う懺悔室
・・・うーん。結構適当だなぁ・・・。
黒龍の話し方とか、朔と景時の性格、とか。
ちなみに黒龍が消滅してないので望美たちが来る4年前ぐらい?(曖昧)
後、『応龍の化身』はオリジナル設定です。
『応龍』の意味合いも結構創ってるかもしれませんが、ご了承下さい。


2005,9,24 刹霞


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