「・・・なんでだろうね〜」



そんな声が聞こえた。いや、その前から声は聞こえた。・・・でもこんなにはっきり聞こえるのは初めてだ。




誰かが世話をしてくれるのは分かっていた。
一人は女の人。『さく』って呼ばれる人。僕を心から心配してくれている。
後は男の人が二人。『こくりゅう』と『あにうえ』。
『こくりゅう』もぼくを心配してくれている。・・・でも、凄く哀しそうにぼくを撫でる。あの子に似ている気がするし、そして何故か酷く懐かしい。
そして今いる声の主は『あにうえ』。名前は・・・確か・・『かげとき』と、誰かに呼ばれていた。
『あにうえ』改め『かげとき』さんは何故かしょっちゅう僕のところに来ている。暇さえあれば。
僕の顔を覗き込み、一言二言何かを言って、そして何かをしだす。
この人が来ると、とても安心する。『こくりゅう』とは違った安堵感。理由なんて、わかんない。



・・・意識ははっきりしている。でも、身体が言う事を利かない。
どうやって目を開けばいいのか、手を動かせばいいのか。全然分からない。
自分の身体じゃないみたいだ。




でも、今日は違った。
『かげとき』さんの声が聞こえたら、どう頑張っても開かなかった目が開いた。
ようやく『かげとき』さんを見る事が出来た。
そして、声をかけようとした。・・・しかし、声は出なかった。




駄目なんだ。




そう思った。そしたら哀しかった。寂しかった。
・・・ぼくはこの人と話す事は出来ないんだ、って。




そう思ってたら『かげとき』さんが手紙から視線を外し、ぼくを見た。
思わずそのままの顔で見つめてしまった。



「あれ?起きたんだ。どこか痛くない?」



その言葉にぼくはふるふる、と首を横に振る。
・・・上手く動かせないので不恰好だったかもしれない。
お腹すいてない?と言われたので、少し考えてみる。
・・・空腹すぎて感覚がない。でも多分お腹はすいているだろうと思い、こくん、と首を縦に振る。




「お腹すいたの?」


そうもう一度尋ねられたのでこくん、と再び頷く。
そして『かげとき』さんはいぶかしげな顔をする。
・・・気付いたのかもしれない。と思った。



「・・・もしかして、話せない?」




そう言われ、つきん、と胸が痛んだ。
『かげとき』さんを見れなくて、目を伏せ、こくん、と頷いた。



















後書きと言う懺悔部屋
視点でした。
うーん。ちょっと楽しいかも。


2005/09/25 刹霞


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