が来てから早一ヶ月。今の生活にも随分と慣れてきたようで、召使や舎人、朔や黒龍と楽しそうに暮らしている。
・・・そんな矢先、事件が起きる。





「兄上ッ!!」



珍しく息を切らして俺の元に来たのは妹の朔。後ろからはが同じように走ってくる。



「どうしたんだい?朔。
 朔が来るなんて珍しい・・・それにも」
「こ、黒龍が来ませんでした!?」
「黒龍?・・・いや、来てないけど・・・黒龍がどうしたの?」



息を切らしたまま話す朔。が朔の顔を心配そうに下から覗きこんでいる。その後、俺の顔を切なそうに見る。



「昨日、から、帰ってこないのです・・・!」
「昨日から?」
「はい・・・何も言わずに出て行くなんて・・・今までなかったのに・・・!」



今にも泣きそうな声。でもそれに反して朔の顔は怒っている。・・・まぁ、泣かないようにの防衛だろう。



「神子と龍は繋がっているんだろう?」



それなら・・・と続けようとしたが、が俺の着物をつかみ、ひっぱる。ふるふる、と首を横に振る。
言っちゃいけない。そう訴えているようだった。



「・・・・・わからないのです」
「え?」
「黒龍の気配も、何も・・・・・・

 ・・・・・・・わからないのです」



そう言って朔はその場に崩れ落ちるように座り込む。
は崩れ落ちた朔の側に駆け寄り、ぎゅう、と頭を抱きかかえる。
どうしよう。そんな様子でが顔だけを俺に向ける。



「と、兎に角。此処じゃ目立つから・・・中へ入ろう?」



こくん、とは頷き、朔に立つよう促すしぐさをする。
朔は力なくふらり、と立ち上がる。俺は慌てて妹を支える。
・・・普段は気丈な妹が。と内心かなり驚いている。




主に会議に使われている部屋に朔とを連れてくる。
朔を適当な場所に座らせる。そんな様子をは眉をひそめながら見つめ、朔が座り終わるとすぐ彼女の側に駆け寄り、様子を窺っている。



「・・・すみません、兄上。も・・・ごめんなさい」
「気にしなくていいよ。俺を頼ってくれて嬉しいよ」

も首を横に振って、気にしないで?大丈夫だよ。そう訴えている。



「それで・・・わからない、って言うのは?」
「・・・そのままの意味です。嫌な・・・嫌な予感はしたのです。
 最近、黒龍の力が失われていったのです。わかって、いたのに・・・・
 そして昨日、突然何処かへ行ってしまったのです。」
「誰か・・・黒龍が出て行ったところを見たのかい?」
「・・・が」
が?」


視線をに向ける。は居心地悪そうに身動ぎをする。それから、頷く。


「見たのかい?

こくん

「外に出て行ったんだね?」

こくん

「何処に行くか・・・聞かなかったかい?」

ふるふる

「そう、か・・・」



八方塞だ。
此処に来る前、散々町の人に手当たり次第聞き込んだらしいし、舎人や召使までも使って探したようだ。
・・・それでも見つからなかったから、俺の所に来たらしい。
俺の力を使って調べて貰おうと思ったらしい、が。



「朔・・・・すまない・・・」
「いいえ・・・兄上は悪く、ありません」



わかっていた事、ですから。そう哀しそうに目を伏せる。




「黒龍は・・・・・・




 ・・・・・・・・消滅してしまったのですね」



妹は静かに涙を流し、そう呟いた。















後書きと言う懺悔部屋
・・・暗い、かな?うん。
黒龍が消滅した所。なので、望美たちが来る、三、四年前。
ちなみには白龍(小)と同じぐらいの見た目です(今更)


2005/09/25 刹霞



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